京都の交通事故・介護事故に強い弁護士/法律事務所-過失割合・慰謝料・損害額増額・後遺障害等級・示談・裁判 | 馬場充俊

@基礎収入

通常、家事従事者の基礎収入は、女性全年齢平均賃金によります。

 

高齢家事従事者の場合は、年齢別平均賃金が採用される傾向にあります。
もっとも、70歳以上の高齢者の場合は、注意です(平成27年賃金センサスによると、65歳〜69歳は3094.9千円ですが、70歳〜は3197.9千円となり、金額が大きくなります。)。
※賃金センサスの何割かに減額する例もあります。

 

交通事故による逸失利益の算定方式についての共同提言(平成11年11月22日)

原則として全年齢平均賃金による。
ただし、年齢、家族構成、身体状況及び家事労働の内容などに照らし、生涯を通じて全年齢平均賃金に相当する労働を行い得る蓋然性が認められない特段の事情が存在する場合には、全年齢平均賃金を参照して適宜減額する。

適用例K 88歳の専業主婦(夫と二人で年金生活)

そこにおける家事労働は、もはや自ら生活していくために日常的な活動と評価するのが相当

適用例M 74歳の専業主婦(夫と二人で年金生活)

事故時の女子平均賃金の7割を基礎収入とし、平均余命14.34年から7年間の労働能力喪失期間(判時1692号162頁、判タ1014号62頁)

 

家事労働の逸失利益性

ここで注意しなければいけないことは、家事をしていること=家事労働の逸失利益性が認められるわけではないということです(2003赤本294頁鈴木順子裁判官)。

1 成人して勤めに出ている子供と二人暮らしの女性 ▲

 成人すれば本来自分のことは自分ですべき 

2 夫と二人で年金生活をしている妻 ▲(減額)

 労働の再生産に結びつくことは不要 

3 85歳同士の老夫婦の妻 ▲
4 一人暮らしの女性 ×
5 有職の主婦

 家事労働と他の労働をあわせて一人前の労働分 ▲

 

A就労可能年数

原則 67歳 労働能力喪失期間の終期

 

高齢者 67歳までの年数と簡易生命表の平均余命年数の2分の1のいずれか長期
   職種、地位、健康状態、能力等による

 

医療・介護事故における逸失利益の減額

損害とは「もし加害原因がなかったとしたならばあるべき利益状態と加害がなされた現在の利益状態の差」(差額説)です。

 

すると、高齢であったり、事故前から疾患があった場合などの健康状態等を考慮し、就労可能年数は限定されることになります。

 

つまり、将来において就労することができた蓋然性が否定されることになるので、赤本基準より減額されることになります。

 

(三坂歩東京地裁判事補ほか「医療・介護施設における高齢者の事故についての侵害賠償請求に係る諸問題」判タ1425号69頁)

B年金逸失利益

年金生活者が事故で死亡した場合,将来もらえたはずの年金分の逸失利益は認められるのですか

逸失利益性が認められる年金

 …理由)拠出された保険料との牽連性あり。

国民年金

 老齢基礎年金・障害基礎年金

厚生年金

 老齢厚生年金・障害厚生年金

共済年金

 退職共済年金・障害共済年金

 

逸失利益性が認められない年金

 …理由)拠出された保険料との牽連性が間接的。社会保障的性格が強い。

遺族年金

 遺族基礎年金・遺族厚生年金・遺族共済年金
 軍人恩給の扶助料
 障害年金の子及び妻の加給分

 

生活費控除

 青本(交通事故損害賠償額算定基準2016)162〜163頁によれば30〜80%である。

 

稼働収入の逸失利益の計算式
「基礎収入×(1ー生活費控除率)×就労可能年数に対応したライプニッツ係数」
年金逸失利益の計算式
「年金額(年額)×(1ー生活費控除率)×平均余命年数に対応したライプニッツ係数」
合算方式(稼働収入のある期間は年金との合計額を基礎収入にして稼働収入による生活費控除率、年金収入のみの期間は高率の控除をします。)
分離方式(稼働収入の逸失利益と年金逸失利益を分離して算入します。)

※遺族年金の受給の有無と金額は,生活費控除率を何%に設定するかという点に関わってきます。年金が生活費に費消される割合が高いので老齢年金の逸失利益の生活費控除率は高くすべきという主張に対して,遺族年金も受給していたので遺族年金によっても生活費を賄うことができたと反論できることになります。例えば、年100万円の老齢年金と年100万円の遺族年金を受給していた人は,年100万円の老齢年金だけを受給していた人より、老齢年金から生活費に回る割合は少なくて当たり前ですね。前者の場合でも100万円の遺族年金は逸失利益としては認められないが,100万円の老齢年金の逸失利益の算定では生活費控除率を60%などの高率にする理由はなくなる。多額の遺族年金を同時に受給していた場合に老齢年金の逸失利益の生活費控除率を0%やそれに近い値で認定した裁判例は多い。

 

損益相殺的調整

遺族厚生年金は損害賠償額から控除されるか

最高裁平成5年3月24日判決(民集47巻4号3039頁)

Aは、自動車事故で死亡した。そこで、被害者の遺族X1とX2が、加害者Yらに対しその賠償等を求めた。Aの死亡により、遺族X1は労災保険法による遺族補償年金、厚生年金保険法による遺族厚生年金を受給することとなったが、遺族X2は遺族年金を受給していない。
原審である第二審は、各遺族年金をX1、X2のいずれの関係においても、損害賠償額から控除した。
これに対して、X1、X2は、遺族厚生年金は損害賠償額から控除されるべきではないとして上告したのが本件である。

「不法行為と同一の原因によって被害者又はその相続人が第三者に対する債権を取得した場合には、当該債権を取得したということだけから右の損益相殺的な調整をすることは、原則として許されないものといわなければならない。けだし、債権には、程度の差こそあれ、履行の不確実性を伴うことが避けられず、現実に履行されることが常に確実であるということはできない上、特に当該債権が将来にわたって継続的に履行されることを内容とするもので、その存続自体についても不確実性を伴うものであるような場合には、当該債権を取得したということだけでは、これによって被害者に生じた損害が現実に補てんされたものということができないからである。
したがって、被害者又はその相続人が取得した債権につき、損益相殺的な調整を図ることが許されるのは、当該債権が現実に履行された場合又はこれと同視し得る程度にその存続及び履行が確実であるということができる場合に限られるものというべきである。
退職年金を受給していた者が不法行為によって死亡した場合には、相続人は、加害者に対し、退職年金の受給者が生存していればその平均余命期間に受給することができた退職年金の現在額を同人の損害として、その賠償を求めることができる。この場合において、右の相続人のうちに、退職年金の受給者の死亡を原因として、遺族年金の受給権を取得した者があるときは、遺族年金の支給を受けるべき者につき、支給を受けることが確定した遺族年金の額の限度で、その者が加害者に対して賠償を求め得る損害額からこれを控除すべきものであるが、いまだ支給を受けることが確定していない遺族年金の額についてまで損害額から控除することを要しないと解するのが相当である。」

 

(参考)東京地裁平成26年11月27日(自保ジ1937号1頁)

「将来介護費用の算定に当たり,中間利息を控除しており,被告が支払うべき損害賠償総額は,参加人が代位したことにより変動しない」

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